夏の思い出

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サラリと流れるロングヘアー、いかにも利発そうにクリクリと良く動く瞳、それが佐藤夏美である。

まだ学生なので、手足も細く華奢な印象だが、爽やかな制服を押し上げる肉体は確実に成熟しつつある見事な女体を容易に想像させた。学校での成績もまずまず良い方、気が強くて元気、しかもアイドル顔負けの美形でクラスでも人気がある。そのアーモンド形の目で、上目使いで人の顔を覗き込む癖があり、じっと見詰めて魅惑的に微笑む、典型的な小悪魔タイプの女の子である。

そんな可愛さ溢れる美少女なので、通学途中の電車の中ではよく痴漢に遭遇してしまう。

しかし、電車通学を始めたばかりだった当時の夏美には何をされているか全く理解できなかった。肉体は大人の女と変わらないほど十分に発育した抜群のプロポーションを持っていたが、精神的にはまだまだ幼い娘だった。凄まじい悪寒と共に少し理解が出来てくると、今度は恐怖のあまり体が動かなくなってしまった。

夏美の可憐な肉体は、満員電車の中でほぼ毎日のように痴漢に嬲られ続けた。しかし怖くて抵抗できない。いくら勝気な性格とは言えまだまだ少女なのだ。まだ、性的な開発のほとんどされていない清純な肉体を卑劣な痴漢たちに弄ばれていると時折、妙な感覚に陥る事があった。悔しくて、おぞましくてたまらないのに、まれに甘い痛みが走る事があった。知識的に少女の夏美にはそれが何かは分からないが、とにかく痴漢は大嫌いで男性不信に陥るほどだった。

後で、女友達が集まったところで聞いた話によると、夏美が通学で使っている路線は痴漢が出没する事で有名な場所だったらしい。理由は簡単で女性専用車両がない事だった。ラッシュ時以外、人があまり乗らない路線だったので車両が少なく女性専用車両を用意できない線だった。そうなると痴漢をする側の卑劣な男たちも集まってきてしまう。中でもひときわ目を引くズバ抜けた美少女の夏美は、どうしても痴漢達の毒牙にかかる獲物として標的にされてしまうのだった。

 

あと、全くウワサにすぎないのだが、ネット上に満員電車の痴漢愛好家達のコミュニティがあり、そこで示し合わせた男達が集団で一人の女の子を襲う事があるらしい。しかも、その痴漢集団がこの路線に時々出没すると言うのだ。事実、ほとんど毎日痴漢の被害にあっている夏美はそのウワサに戦慄した。しかし、あまりにも恐ろしすぎる噂話なので、少々現実味に欠ける所もある。なんでも、集団で襲われた女の子はその後姿を消し、散々肉体も弄ばれ、淫乱な肉体に開発されてしまい売春婦になってしまうと言うのだ。

 

いくらなんでも、そんな痴漢犯罪のプロ集団がいるわけが無く、夏美はよくある都市伝説の一つとして聞き流していた。

 
 

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